自主学習と宿題の差! 9/16

本塾では毎月初頭に様々な教育情報を送付案内でお送りしています。 7月には学力低下や今後の教育について大きなニュースがたくさんあり、外部の方もぜひ知ってほしい変化がたくさんありました。 内容を一部紹介致します。 今後の学習にご利用ください。

自主学習と宿題の差!
学力低下の報道について

先月紹介した学力・学習状況調査について新聞各紙も精査情報を発表しました。 実際の肌感覚としても感じていましたが、家庭での学習時間、読書が好きな生徒は過去最小とのことです。 どちらも学力に大きな影響があることが知られており(後の送付案内で詳しく紹介)、学力低下の要因として大きいでしょう。 またスマホを2時間以上使う生徒が小学校26%・中学校53%となったことも、負の影響が大きそうです。

これまで国の学力・学習状況調査の経年変化分析で学力低下が認められたことは一度もなかったのですが、ついに学力低下が認められました。 対策に期待したいところです。 さらにPISA2025の結果が2026年頃に出てくるので、そこでどのような結果が出るかも注目です。 コロナで国際的にも学力が低下しましたが、その後きちんと回復したかどうかが初めてわかります。

全国連合小学校長会長を務めた喜名朝博教授は学力低下の理由として①学校現場で徹底して教えることが減った、 ②「主体的・対話的で深い学び」が重視されすぎ、定着の確認ができていない、 ③学ぶ意欲の減退、勉強しなくても進学できるという意識の広がり、の3点を挙げています。 概ねその通りでしょうが、他にも後述するような様々な問題が生じていると思います。

自主学習と宿題について

昨今は小学校で宿題がなくなり、自主学習になることが増えているようです。 しかし自主学習できちんとした勉強ができるのは成績中上位層以上だけで、そうでない子はシンプルに勉強量が減る可能性が高そうです。 幼児期は未発達で宿題の効果が薄いことが知られており、国際的にも削減の傾向があります。 ただ中学校では宿題や提出物があるので、本来であれば小学生高学年からはそれに対応できるよう成長を促し、切り替えなくてはいけません。

まず現状については、あらゆる科目で得点が正規分布にならなくなりました。 これは勉強不足の子が半数を超えたということです。 分布が歪む原因は統計データにも既に現れており、小学生の家庭学習時間が成績下位層〜中位層で顕著に低下していることにあります。 ボリュームゾーンの中位層も勉強が不足している、これが重要なポイントになります。

同じような勉強不足の問題はゆとり教育時代にもありました。 ゆとり教育時代には学力低下に対抗するために、各学校は短い勉強時間で効果の高い学習法の検討と検証を30年くり返しました。 結論については様々な論文や記事で同じような報告がされています。 根本的な問題は成績下位層の家庭での勉強時間の少なさにあり、それを増やすには計算・漢字ドリルのような簡単な宿題と、基礎学習の徹底が最も効果が高いと結論付けていました。 成績下位層の子は学校の宿題が家庭での学習時間の大半を占めています。 その子たちに最も効果的な読み書き計算などの基礎・基本を学校が徹底していたからこそ、宿題が学力の底上げに大きな効果があったのです。 学校の宿題がなくなってきたことと勉強時間の大幅低下と学力低下には、間違いなく深い関連があります。

近年はさらに小学校で様々な基礎的・基本的行動習慣・教養が失われつつあり、それが学力低下に拍車を掛けているように感じています。 たとえば宿題をできなかったり復習をできない子が増えていることはよく言われています。 これは宿題の位置付けが曖昧になった弊害で、最低限の勉強をできない子が増えていることを意味します。 学校の宿題をしているかどうかは学力に大きな影響があることが知られていますが、それは塾も同じであると思います。 基本的な行動を独力で行えない場合シンプルに勉強時間を増やすしかないはずです。 基礎・基本の徹底が失われるというのはこのような問題があるだろうと思います。

さらにその背景には外国人児童生徒の増加や授業の多様性重視による学力低下、共働きの増加など、より様々な要因はあるのでしょう。 近年はまとまった勉強時間を取って間違った習慣を直さないと、親世代のような学力・教養を身に付けることは難しくなりつつあるのでしょう。

ではどのように学力を向上させていけば良いでしょうか? 10月号を期待ください。

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