英語は余裕をもった学習が必要! 10/23

中学生は英語学習が非常に重要です。 当塾では中学生になる前から中学生の範囲を学ぶ子も多く、 特に英語に関してはそのほうが無難と言えます。

中学生は英単語量が 800語から 1800語に増えました。英語の学習量が増えたから英語の学習量を増やそう。 もちろんその通りなのですが、問題点と解決案は他にも色々あると思います。 そこで今回は神奈川県の高校受験における英語の現状について、データに基づいた説明をすることにします。

春期講習
神奈川県の英語は壊滅

神奈川県の公立高校入試における英語の点数の推移をご覧になったことはあるでしょうか? 中学生の英語の学習状況を知るのに、これ以上優れたデータはありません。 ただ過去データが失われている問題があるので、本塾がまとめ直したものを公開します。

まず 2012年以前と 2013年以降でくっきり点数分布が変わって、崩壊していることがわかります。 これにはいくつかの要因があると考えられます。 (1) ゆとり教育を 2012年に脱却しました。この変化に対応できていない可能性があります。 (2) 神奈川県では 2012年に従来から行われていた推薦入試制度と学校ごとの独自問題を廃止しました。 事情についてはリンクを参照して頂くほうがわかりやすいと思いますが、共通の筆記試験が必須となったことで、平均点が下がりました。

もちろん問題自体が難しくなったことも理由にはあるでしょう。 5教科平均で 7割以上得点できていた時代と比べると、今は平均が 6割になっています。 しかし英語だけ平均点が -30点という部分は問題の難化だけでは説明できません。 つまるところは、それまで潜在的に抱えていた問題が顕在化した結果です。 10年経っても改善がない点を見ていると、世代レベルの根深い問題であることも予想できます。

改めて結果だけに目を向けると、2013年以降の点数分布を見たとき、100点中 20点ところに分布のピークがあったり、均等分布になることがほとんどです。 きちんとした正規分布になっていたのは 2018年だけです。 つまり問題をほとんど解けていない子が非常に多いことがわかります。 これらが意味するところは、2020年の学習量増加以前から、神奈川県では平均的な英語の学習量が不足しているということです。

備考:
  1. 元データは 1, 2, 3, 4, 5, 6 にありますが、すぐ消失するので以下に保管しました。
  2. 保管データはこちら: 2024, 2023, 2022, 2021, 2020, 2019, 2018, 2017, 2016, 2015, 2014, 2013, 2012, 2011, 2010, 2009, 2008
  3. 2012年度以前は 50点満点のデータを x2 して記載しました。
  4. わかりやすさのために折れ線グラフにしています。
他県も学習量増加で壊滅気味?

他県の詳細調査結果を見ると、静岡県や千葉県などでも英語の点数が均等分布に近づく傾向が見て取れました。 群馬県では 2024年度に初めて英語の点数が激減したことが記事にもなっていました (図)。 しかしそれは学習量の増加した 2020年以降の変化で、神奈川県の分布とは異なります。 東京ではむしろ点数が上がっていることが確認でき、学力の二極化を感じさせます。 埼玉・大阪・京都などは調査してないように見えます。

指導要領自体の検証も必要かも知れませんが、2024年の小学生の教科書小改訂では単語量が 50ほど増加し、 疑問文・不定詞・3単現の内容が前倒しされ、ライティングの練習が増えたように、今後も学習量を維持する方向は変わらないと思います。 早い段階から本質的な英語学習に切り替えるほうが無難です。 慣れ親しむ英語が通用していないことは明らかです。

2020年まで点数の安定していた他県でもこのような状態ですから、神奈川県はなかなか大変な状態と予想できます。 少なくとも 2012年の感覚では通用しません。

自発型の学習が英語学習の鍵

神奈川で 2012 年からずっと英語だけ点数が低いのは、なかなか興味深いことだと思います。 理由に関して予想を立てることは避けますが、当時の 入試制度の変化 に目を向けると得られることは多いはずです。 学習量の増加した今後はさらに厳しい状況にあると思います。

英語は積み上げ式かつ自発学習のウェイトが非常に大きい科目です。 授業を聞いているだけでできるようになる科目ではありません。 毎日覚えようとしない限り点数は伸びませんし、 基礎が理解できていない状態で長文問題が増え始めると、急激に点が取れなくなります。 点数から察するに、中1の2学期では既に学校の内容に付いていけていない勉強不足の子が多いと予想できます。 その上で言えることは、なるべく早く自発型の勉強に切り替えようということです。

わかりやすい例として英単語学習を取り上げます。 既に中学生の英単語量は 800語から 1800語に増えて久しいですが、これは昔の高校生が覚えていた量です。 当時でさえまず間違いなく多くの子は毎日英単語の学習をしていました。 いまの中学英語では同じように自発的な単語学習を行わないと、英単語レベルでさえ通用しなくなります。

英語でつまづかないようにするためには、余裕をもって十分な学習をすることが必要です。 最低でも長文を安定して読めるまでは、余裕をもって十分な学習をすべきです。 そのためには小学生高学年の学習が大切です。 既に中学生の子は早期に学習量を増やすことが一番です。 ピンチはチャンスとも言いますが、英語 1科目だけで大きな差を付けられる可能性も高まっています。

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